【労務】6月7月のイベント 社会保険料の改訂と労働保険料の申告(難易度:ふつう)
2018年06月7日社会保険の事務には、毎年6月7月に大きなイベントがあります。
今回はこれについて実務の仕組みを簡単に整理してみたいと思います。
まず、社会保険と一言でいっても、一般的には①「社会保険(狭義)」と②「労働保険」を併せたものを社会保険と呼んでいます。
①社会保険(狭義)
種類:健康保険、介護保険、厚生年金保険
窓口等:健康保険、介護保険 →健康保険組合(または協会けんぽ) 厚生年金保険 →日本年金機構(年金事務所)
②労働保険
種類:雇用保険、労災保険
窓口等:雇用保険、労災保険 →労働基準監督署(労働局)
また、社会保険では以下のように決まりがあり、勤め先での勤務時間(日数)によって強制適用となります。
① 社会保険(狭義) | ② 労働保険 | |
健保、介護、厚生年金 | 雇用、労災 | |
時間: | 週30時間以上(週3.75日以上) | 週20時間以上(週2.5日以上) |
↓ | ↓ | |
法人: | ○ 強制適用 | ○ 強制適用 |
(※ただし、非適用業種(飲食店、理容・美容業、弁護士等の専門サービス業等)では5人以上従業員がいても強制適用とはなりません。)
さて、ここから毎年6月7月の大きなイベントの話となります。
<労働保険の年度更新>
(手続)
先に、労働保険から。
労働保険の年度更新は、毎年1回です。雇用保険と労災保険の保険料をまとめて1年に1回、申告・納付することになっています。
毎年4月1日~翌年3月31日までの1年間が「保険年度」(会計年度みたいなもの)。
手続きの期限は、毎年6月1日~7月10日までで、労働局に対して労働保険申告書を提出し、保険料を納付します。
対象の保険年度と労働保険申告書の提出期限が離れているんですね。何の作業をしているのか注意が必要です。
年度更新では、①前年度に労働保険料を概算で算出したもの(概算保険料)と、労働保険料を実績に基づいて確定させたもの(確定保険料)を精算する手続と、②新しく今年度の概算保険料を納付する、というかたちで行います。
これを毎年繰り返します。
(準備する資料)
労働局から封筒(緑色の封筒)が届きますので、これを確認します。その他、以下の資料が必要です。
・前年度の4月~3月までの賃金台帳(パート、アルバイト含む全員分)
・労働者名簿(パート、アルバイト含む全員分)
<社会保険の算定基礎届>
(手続き)
社会保険料の計算では、標準報酬月額という言葉が大事になります。社会保険料は、まずもって、この標準報酬月額を基準にして計算するからです。
標準報酬月額は、4月、5月、6月に支払った報酬額(※)の合計を平均した金額を基に決定します。
(※)報酬額には、労働の対価として支払うものは全て含まれます。例えば、「通勤手当」などは所得税法上は一定額まで非課税ですが、社会保険の考えでは、報酬額に含まれます。
標準報酬月額は、毎年1回見直しをかけるのですが、これを「定時決定」といい、その結果を「報酬月額算定基礎届」に記載します。
作業の時期的には、4月~6月の3ヵ月平均をとるので、自ずと6月下旬~7月あたまとなりますね。
手続きの期限は、毎年7月1日~7月10日までで、年金事務所等に届出ます。
(準備する資料)
日本年金機構から封筒(茶色の封筒)が届きますので、これを確認します。その他、以下の資料が必要です。
・その年の4月、5月、6月の賃金台帳(社会保険加入者全員分)
・労働者名簿(パート、アルバイト含む全員分)
この夏の時期、毎年、総務や人事のご担当者は、ちょうど事務的に忙しい時期になります。従業員の人数多いとより大変です。
今回は、年1回の繁忙期、社会保険事務のイベントの整理でした。
それでは。
難易度 やさしい < ふつう < 少し細かい
難易度は、経理初心者~若手経理ご担当者の方くらいを目安にしています。