【会計】ROEかROAか (難易度:ふつう)
2017年12月13日ROE(Return On Equity):株主資本利益率=利益÷純資産
ROA(Return On Asset ):総資産利益率=利益÷総資産
似たような経営指標で、どちらも『如何に効率よく利益を出したか』という企業の収益力を表すものです。
ROEは、株主から集めた資金で、どのくらい利益を上げているか、
ROAは、総資産(=資本+負債)という会社が集めたすべての資金で、どれくらい利益を上げているか、
という見方になります。
では、どちらがより重視すべき指標でしょうか?
どちらも重要な経営指標であることに間違いありませんが、その優先順位が存在します。
その正しい優先順位は、さきにROAがきて、あとにROEです。
後で解説しますが、経営者ならばこの優先順位は絶対に間違えてはいけません。
結論から言うと、
『ROAを高めることに邁進すれば、中長期的な財務の安定性を損なわずに、自ずとROEが高まってくる(株主の期待に応えられる)』
ということです。
(解説)
何故このように言うかというと、ROEは利益に関係なく、小手先で調整できてしまう指標だからです。
例えば、
資産:100 負債:50 純資産:50 という会社が、利益:10を出したとします。
このときROEは20%、ROAは10%となります。
では、利益:10は変わらないとして、資産:100 負債:90 純資産:10 だったとします。
このときROEは100%、ROAは10%となります。
ROAは10%と当然変わらないのに、ROEだけ100%と極端に上がっています。
すなわち、ROEは総資産に占める負債の比率を高めるだけで改善してしまう指標なのです。これを「財務レバレッジ」の効果といいます。もちろん、このとき自己資本比率は大きく下がっていますので、財務安定性は損なわれていますが。。。
(財務レバレッジとは純資産を1としたときに、その何倍の大きさを事業に投下しているかをみるもの、ともいいます)
では、もう少し細かく、式を分解して考えてみましょう。
ROA(Return On Asset ):総資産利益率=利益÷総資産
財務レバレッジ:総資産÷純資産 (自己資本比率の逆数となる)
↓
ROA×財務レバレッジ= 利益÷純資産 ⇒ ROE
ROEとROAの関係性がみえてきました。
ROEは、ROAに財務レバレッジを乗じたものといえます。
財務レバレッジを効かせれば効かせるほど、ROEは良くなります。
しかし、財務安定性を崩せば崩すほど、、、と同義ですので、これはおススメできません。
やはり、ROAを高めることを経営方針にすれば、自己資本比率を損なわず正しくROEを高める経営ができる、ということです。
経営指標をもって経営方針を掲げるときにご参考になればと思います。
それでは。
難易度 やさしい < ふつう < 少し細かい
難易度は、経理初心者~若手経理ご担当者の方くらいを目安にしています。