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【税務】役員貸付金を考える (難易度:ふつう)

2016年11月22日

「役員貸付金」とは、会社が役員に対して貸付けているお金です。これについては、発生原因はともかく、残高として存在するとかなりインパクトがあります。俗に「禁じ手」とも言われ、良いことは一つもありません。

巷では、「役員貸付金とする」あるいは「仮払金とする」などして、会社のお金を一時的に利用できるというオーナー社長同士の会話があったり、または税理士の中にそれを容認するものもいるみたいです。

今回はこのおススメできない役員貸付金について解説します。

 


発生原因は以下の2つ。

1.適正な手続きによる金銭消費貸借によって発生

2.それ以外

1.はそれほど問題ではありません。返済期限、返済方法、利息などが適切に定められ、その通り処理されれば、税務上リスクとなることは、それほどありません。

しかし、金融機関から借入れがある場合は、税務以外の問題ですが、それ自体が迂回融資と疑われたり、あるいは与信評価を下げられるリスクがあります。

 


2.それ以外とは様々ですが、「ちょっと拝借」などがほとんどの理由でしょう。これには次のように税務上のリスクがあります。

◆発生したら問題となる

『資本金を返金したものと推定されてしまう』

金融機関にそう思われると、当然、心証が悪くなります。

税務署にそう思われると、返金した額は役員への給与として認定されます。給与と認定されると会社としては源泉徴収漏れ(裏返しで、個人としては所得税過少)となります。

『売上収益の一部を役員に貸していると思われる』

この場合は、何故貸しているのか、返済されるのか、無利息なのは何故か、など説明できるようにしておく必要があります。


◆単純に消そうとしても問題となる

『貸付金を貸倒処理してもダメ』

 貸倒処理した場合は、役員への賞与として認定されます。役員賞与は法人税法上は原則損金不算入です。簡単には逃げられません。

『会社の経費を役員が立替えて、役員借入金と相殺していく場合』

 役員が事業経費を立替えている場合には、その役員からの借入金となります。この方法だと、貸付金をうまく消し込めそうですが、大げさにやりすぎると逆に役員の資金の出処が問題視されてしまいます。

 


最後に補足ですが、認定利息の問題

どうしても役員貸付金が発生してしまった場合は、利息を計上しなければなりません。

会社(株式会社)は営利目的の法人であることから、役員貸付金には当然に利息を求める、と考えます。個人事業主の「事業主貸」とは異なる点です。

会社が受取利息を計上していなかったり、不合理に設定していた場合には、税務署は年利4%などの利息計上を認定してくるおそれがありますので注意が必要です。

 

以上、役員貸付金が通常通り契約書などで発生したものでない限り、様々な問題を抱えるということですね。

 

それでは。

難易度 やさしい < ふつう < 少し細かい

難易度は、経理初心者~若手経理ご担当者の方くらいを目安にしています。

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