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【税務】業務委託か雇用か (難易度:少し細かい)

2016年10月17日

業務委託で契約して働いてもらっているのに、税務上、雇用とみなされてしまうケースがあります。
業務委託ですと、勘定科目は通常「外注費」、消費税は課税。これが雇用とみなされると「給与」、消費税は不課税とされます。このみなし行為を給与認定といい、交際費認定、寄付金認定などと同様、会社にとってマイナスとなる事象の一つです。

では、何故、経営者は雇用ではなく業務委託にしたがるのか、また税務署は給与認定をしてくるのか、解説します。


前置きとして、「同じ仕事をするのであれば、正社員ではなくとも外注でよい、または必ずしも従業員とする必要はない」ということを前提としますが、業務委託には以下のメリットがあるからです。

 

◆業務委託のメリット ~労務面~ 

 ①社会保険関係が適用されないため、保険料の支払いが不要

 ②雇用でないため、いつでも契約解除できる

 ③労働基準法が適用されないため、時間外手当の支払いが不要

 ④有給休暇を与えなくても良い

 ⑤最低賃金法の適用を受けないため、話し合いの上、報酬を自由に決定できる

 

◆業務委託のメリット ~税務面~ 

 ①原則として、源泉徴収の義務無し

 ②消費税で仕入税額控除がとれる

 


しかし、きちんと実態と形式を整えないと、この裏返しで税務上リスクとなってしまいます。

 ①給与認定されると、源泉徴収漏れを指摘される(原則として、源泉徴収義務が生じる)

 ②給与認定されると、消費税の仕入税額控除を否認される(消費税の課税仕入として扱えなくなる)

 

要は、「安易に外注、業務委託にすれば良いということではない」ということですね。

有名な話ですが、この判断のポイントを紹介しておきます。

 


◆業務委託を外注費として処理できるためのポイント

(形式面)

まずは、形式面を整えることが重要です。外から見てわかりやすいからです。

 ①請負契約書、業務委託契約書等を締結すること。

 ②外注先から自分で計算した請求書を定期的に発行してもらうこと。それに基づいて支払いを行うこと。

 

(実質面)

そして、法律ではやはり実質面でしょう。形式を如何に取り繕っても、この実質面から切り崩してきますので、しっかりポイントを押さえて理論武装しましょう。

業務委託か雇用か(個人事業者と給与所得者の区分)の実質面の判断は、消費税法基本通達1-1-1の文言をヒントに解釈していくことになります。ポイントは以下のとおり。

 ①個人事業者は、他社の仕事も請け負っていること(営業していること)

 ②個人事業者は、仕事の内容につき当社の指揮命令権に服していないこと

 ③仕事場は自社以外であること

 ④出勤時間や退出時間は原則自由であり、拘束がないこと

 ⑤仕事に使用する道具、材料等は本人が用意すること

 ⑥成果に対して報酬を支払うことを条件にしていること

 ⑦個人事業者として確定申告していること

以上が、ポイントとなりますが、税務ではこれらを総合的に判断するとしています。

外注ですから雇用と違って「独立して事業を行っている」ということですね。

 

退職した従業員で事情によっては引き続き現場に出てもらうこともあると思います。しかし、何気なく「じゃ、業務委託で」というのはリスクがありますので気を付けましょう。

 

それでは。

 

難易度 やさしい < ふつう < 少し細かい

難易度は、経理初心者~若手経理ご担当者の方くらいを目安にしています。

 

 

 

 

 

 

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