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【税務】貸倒損失計上の税務リスク Part 2 (難易度:少し細かい)

2016年10月4日

貸倒損失が調査で否認されない判断のポイント解説Part2です。

貸倒損失を計上する税務上のリスクは、「寄付金としてみなされ、貸倒損失自体が否認される」ということです。寄付金は損金不算入ですので、追加課税となります。

このリスクを避けるために、法人税基本通達にあてはめて判断することが大事です。通達は、以下の3つです。

1.債権切捨てのケース(法人税基本通達9-6-1)

2.債権全額が事実上回収不可能なケース(法人税基本通達9-6-2)

3.取引停止等の一定の事実があるケース(法人税基本通達9-6-3)

前回Part1では「1.債権切捨てのケース(法人税基本通達9-6-1)」を解説しました。今回は、「2.債権全額が事実上回収不可能なケース(法人税基本通達9-6-2)」を解説します。


2.債権全額が事実上回収不可能なケース(法人税基本通達9-6-2)

要件

次の事実が生じている場合、損金経理すれば、その債権全額が貸倒損失としてOK

債務者の資産状況、支払能力等からみて金銭債権の全額が回収不能と明らかになったとき(担保物が既にないことが必要)

会社の経理でやること

貸倒損失として損金経理する必要あり。会計上、貸倒損失計上する必要があるということです。

損金算入時期

回収できないことが明らかになった事業年度

判断のポイント

この通達番号での貸倒処理は、「1.債権切捨てのケース(法人税基本通達9-6-1)」が「法律上の貸倒れ」といわれるのと比較して、「事実上の貸倒れ」といわれます。

事実認定ですので、やはりハードルは高めです。最大のポイントは「債権全額が回収不能であることが明らか」というところ。

「債権全額が回収不能であることが明らか」とは、債務者の資産状況、支払能力等の債務者側の事情のみならず、債権者側にとって、債権回収に必要な労力、債権額と取立費用との比較衡量、債権回収を強行することによって生じる他の債権者との軋轢などによる経営的損失等といった事情、経済的環境等も踏まえ、総合的に判断することとされています。

・・・うーん、もう貸倒処理をあきらめた方がよさそうなところですね。相手が無資力であるということを立証しなければならないようなものです。このケースでの貸倒処理はあまりおススメしません。

 

あと、意外に重要なのが、その認定のタイミングです。損金算入できる時期は、「回収できないことが明らかになった事業年度」です。こちらの都合で貸倒処理のタイミングをずらすことはできません。ということは、やはり「なぜ、今なの?」と聞かれることが想定されます。きちんと説明できるようにしておきましょう。

 

ちなみに、債権の一部だけ回収不能部分として貸倒処理することは認められません。債務者が無資力であるという立証が前提ですので、全額です。

 

以上、このケースでの貸倒処理は一番難しそうですね。しかし、「1.債権切捨てのケース」が長期間のモニタリング期間を必要とするのに比較すると、こちらは瞬時に調査すれば、即時に処理できるのでスピード感はあります。

 

次回の貸倒損失は、最後「3.取引停止等の一定の事実があるケース(法人税基本通達9-6-3)」を解説します。

それでは。

 

難易度 やさしい < ふつう < 少し細かい

難易度は、経理初心者~若手経理ご担当者の方くらいを目安にしています。

 

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