【コラム】決算書の分析の仕方 監査法人編
2017年06月23日今回は少し抽象的な話となります。
「会社の全体分析をしてください」と言われた場合、何をしますか?
という趣旨のご質問がいくつかあがってきましたので、私の考えを書いてみます。
ここでいう会社の全体分析というのは、決算書(貸借対照表、損益計算書など)のことでしょうから、それを前提とします。
そして、このようなご質問は、監査法人勤務の方から多く聞かれることから、今回は監査調書の作成においてという点でお答えします。
「会社の全体分析をしてください」 これが監査法人の上司から言われたのか、または顧問先の経営者などから言われたのかによって、決算書の分析の仕方は少し変わってきますが、今回は監査法人の上司から言われた場合です。
ただ、最初に考えること、分析の目標は共通しています。これが一番大事かもしれません。
『限られた時間の中で、相手が何を期待しているのか、相手にどのようなことを言えばハッとするのか、あるいは喜ぶのか、納得するのか、など相手のニーズを推測して、それに合わせて最短で分析すること』
私がいつも心がけるようにしていることです。一つ一つの仕事や手続きであっても、ビジネスと本質は同じだと思います。
これで概ね答えになるのですが、もう少し具体的に書いていきます。
(監査法人の上司からいわれるケース)
監査法人の会計士は、まず何を監査現場で行うかというと、前期と当期の比較表を作ります。そして増減が大きいところピックアップ。その勘定科目を、一次明細、二次明細と最後は総勘定元帳までさかのぼって見ていく、といったところでしょう。
これは基本中の基本であり、最も大事なところです。しかし、これにもう一つ色を付けるとしたら、、、
頭の中で、上司のレビューでは何を聞かれるかな、どこをポイントだというかな、など上司の考えそうなところにメリハリをつけることでしょう。
その上司だってまた、こう考えているはずです。どうやったら審査通るかな、審査担当者にどう簡潔に今回の会社の出来事を伝えるかな、如何に監査の重要な点はどこですと簡潔にいえるかな、などなど。
みんな相手がいることです。相手のニーズに合わせる。簡単です。
私も独立前の監査法人時代は、3年目くらいから、いつもこのように考えて仕事をするようになっていました。というより、これしか考えていませんでした。尊敬できる優秀な上司がいれば、その方を真似して、その考えに近くなることが自分が成長する近道だと思ったからです。(今は立場上、これだけということはありませんが、当時はただこれだけを考えて仕事をこなしていたと思います。)
いずれにしろ、全体を考え、相手がいることを考えていけば、やみくもにダラダラ調書を作ることなんて無くなるでしょう。
何事も相手がいることなので、相手の喜ぶ顔や、すごいなと思ってもらうフィードバックを期待してやれば、上司ですら仕事をくれるお客様だと思えてきて、仕事がやりがいあるものに変わってくると思います。
会社の全体分析をする場合、期別比較をしながらも、監査の全体像(計画~報告書提出まで)を考え、相手のことを考え、できるだけスピーディーに最短で行う、ということが大事だと思います。
それでは