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【税務】法人税の中間申告 (難易度:ふつう)

2016年11月17日

3月決算の会社では、11月末を期限として税務署、都税(県税)事務所などから申告書と納付書が届いているかと思います。

今回は、お客様の中で仮決算を行い納税額を計算して、申告・納付を行う場面がありましたので、これを機会にありきたりなネタではありますが、中間申告に関して書きたいと思います。


法人税の中間申告・納付は、前年度の法人税額が20万円を超える場合に、義務が発生します。要は、前年の法人税額の半分を中間期に一度、申告・納付しておくということ。

これ、結構、資金繰りにインパクト与えます。ですので、多くの税理士はそうだと思いますが、私も年度の確定申告時には、必ず、次の中間期のことも念頭に入れて話をするようにしています。

ただし、中間期での納税ですので、年間を通してみれば、それは前払いの税金です。年度の確定申告で精算されます。精算時に納税額が少なければ、差額を納付。多すぎれば、差額が還付、となります。

 


◆中間申告期限(納付期限)

事業年度開始後6カ月を経過したときから2か月以内です。3月決算なら9月末が中間期となり、その2か月後の11月末が申告期限(納付期限)となります。

 

◆中間申告の手続き

中間申告で、税理士が登場して計算することはほとんどありません。

中間申告では2つの方法があり、

①前年度実績の半分を申告・納付

②仮決算を行い納税額を計算して、申告・納付

①のケースがほとんどだからです。

 

「前年度実績の半分を申告・納付」とは、前年の法人税の半分を納付する方法です。中間期を過ぎたあたりで、税務署などから申告書と納付書が届くと思います。この申告書と納付書に納税額が自動的に印字されていて、そのまま納付するだけです。実に簡単です。

ちなみに、申告書は押印して提出するのが通常ですが、中間申告書に限ってはこの手続きも不要。中間申告書を提出しなくても、提出されたものとみなすということが法人税法で決まっています。

つまり中間申告では、申告書は使わずに、納付書だけ使って、納付するだけで大丈夫ということです。

通常はこれを会社が自分でやりますので、税理士が登場することはほとんど無いのです。

 


仮決算を行い納税額を計算して、申告・納付」とは、実際に中間期を年度と同じように決算期と考えて、仮決算を行い、納税額を計算します。

この場合、中間申告書も押印して必ず提出します。

また中間申告書には、中間期の貸借対照表、損益計算書、および勘定科目内訳明細書など決算と同様の資料を添付します。

 

前年実績の半分を納付すれば良いのに、何故わざわざこのように手間をかけるのでしょうか?

 

それは資金繰りに影響があるからです。

上半期の業績次第では、前年度実績の半分の税額よりも仮決算による税額の方が少なくなる場合があります。

どうしても資金的に影響が大きい場合であったり、または年間を通して前年よりも業績が落ち込むことが予め分かっている場合には、仮決算の方が資金繰りが改善されますので検討の余地があると思います。

 

※ちなみに、そもそも中間申告義務がない場合や、前年度実績の半分よりも税額が多くなる場合には、仮決算による中間申告はできません。

わざと、資金的に余裕がある中間期にドカッと中間納付しておいて、年度末で精算して還付加算金とともに還付してもらおう、という昔々の方法は今は使えないということです。

 


◆その他の税金との関係

<地方税>

法人税に連動して、地方税の中間申告義務は発生します。申告書の提出も納税額の計算も、法人税に連動して全く同じように考えます。法人税とセットです。

仮決算を行う場合は、仮決算による税額を計算するということ。

 

<消費税>

消費税の中間申告は、ここでは詳細は割愛しますが、独自の計算方法と独自の考え方ですので、法人税とセットではありません。

セットではないので、法人税と地方税を仮決算で計算して、申告・納付していても、消費税だけは仮決算に基づかず、別途、中間申告・納付するということができます。

 


以上、中間申告・納付に関して書きましたが、通常は淡々と税務署などから来る納付書を、期限までにそのまま納付すれば良い、ということですね。

 

たまに、税務署や都税(県税)事務所からくる納付書に税額が印字されていないことがあるようです。この場合は、納付ゼロで良いということではありませんので、念のため、問い合わせるのが良いでしょう。

税務署などによっては「ご自身で前年度実績の半分を記入して、納付して下さい。」と言われます。

 

最後に、仮決算の方法をお考えの場合、先に述べたとおり、中間納付は、年間を通してみれば税金の前払いです。

単純に、中間期のその場しのぎの資金繰りを考えてのことでしたら、逆に年度末に大きな納税額の負担となることがありますので、わざわざ行うかどうかは慎重に検討しましょう。

 

 

それでは。

難易度 やさしい < ふつう < 少し細かい

難易度は、経理初心者~若手経理ご担当者の方くらいを目安にしています。

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