【コラム】103万円の壁と130万円の壁
2016年11月18日最近ニュースなどで「配偶者控除の見直し」が取り上げられています。103万円がどうのこうの、撤廃、引き上げなど。
また、似たようなことで、130万円がどうのこうので、雇用保険などが天引きされる、、という話があります。
とにかく、両者に共通している感情は「支払う税金関係を少なくしたい」ということですが、二つは全く別の話です。103万円の壁と130万円の壁ともいわれるこの二つの話、少し整理しておきましょう。
「103万円の壁」は、所得税法の話です。「主たる納税者側で配偶者控除38万円を受けることができる基準のこと」を俗にそう言っています。
所得税法では、控除適用配偶者の要件は、合計所得金額が38万円以下となっています。また給与所得控除の最低額は65万円です。この二つを足すと、103万円となります。次の算式をみましょう。
「103万円―給与所得控除65万円=38万円」
38万円というのが配偶者控除を受ける最低ラインです。ということは、103万円以上稼ぐと、38万円を超えてしまいますので、配偶者控除を受けられないということになります。
これが103万円の壁です。
「130万円の壁」は、社会保険の話です。国民年金第3号被保険者や国民健康保険の被扶養者などの話で、いわゆる社会保険料を自己負担する必要のない年収基準のことをいいます。
将来において130万円の年収見込みがない場合(130万円未満)には、被扶養者になる(一方の扶養に入る)ことができ、自分で保険料を支払う必要がありません。ということは、130万円以上稼ぐと、扶養者から外れ、自分で国民年金や国民健康保険料を納めなくてはならなくなります。
これが130万円の壁です。
最後に、もう一つ社会保険の話で注意することがあります。
働く時間(日数)によって、勤め先の社会保険に入ること。
例えば、パートなど勤め先から「雇用保険に入って下さい」など言われ、手取り額自体が減ってしまった、というケースです。
社会保険では、以下のような決まりがあります。
社会保険(狭義)
健保、介護、厚生年金 |
労働保険
雇用、労災 |
|
時間: | 週30時間以上(週3.75日以上) | 週20時間以上(週2.5日以上) |
↓ | ↓ | |
法人: | ○ 強制適用 | ○ 強制適用 |
個人: | △ 適用業種(※)で5人以上の従業員がいるところは強制適用 | ○ 1人でも雇用した場合は強制適用 |
(※ただし、非適用業種(飲食店、理容・美容業、弁護士等の専門サービス業等)では5人以上従業員がいても強制適用とはなりません。)
つまり、働く時間によっては、勤め先の社会保険に入ることになり、一部、保険料を負担することになってしまうということです。
先に述べた130万円の壁と同じ社会保険の話であるため、この場合は130万円ラインとは関係なく、130万円未満でも、保険料を自己負担することになります。
夫婦共働きのケースでの考え方ですが、配偶者の働き方を変えてでも、手取り額が最も大きくなるよう計算したい場合や、夫婦でのトータルの支出を抑えたい場合には、この辺りを少し計算してみても良いかと思います。
それでは